自分に合った仕事をマイペースで?

 

(この文は懸賞公募に応募したエッセイですが、落選で著作権が手許に残りましたので、ここに掲載しています)

学生時代に就職活動を始めた時は「自分に合った職業につきたい」と考えていました。社会で仕事をするなら、それが一番幸せだと思っていました。「あぁ、自分に合った仕事をしていてよかった」と思えた時の幸福感は何物にも代えられません。

同時に「マイペースで仕事をしたい」とも思っていました。他人のペースではなく自分の好きなやり方やスピードで仕事をしていると自分の世界に浸ることができます。

でも、その時に考えたのです。自分に合った職業って何だろう?マイペースってどんなペースだろう?こんな質問にどう答えればいいのでしょうか。その当時はインターネットという便利なものはなく、誰に聞けばいいのかもわかりません。もちろん、友だちや先輩に聞いてみるという方法はあったのですが、考えてみると変な質問で、誰にも聞くことはできませんでした。仕事をするというのは、こんな質問への答えを探すことそのものだと思うのです。私がそれに気がついたのは、社会に出て仕事をしてしばらくしてからのことでした。

学校を卒業後に就職した会社の新入社員研修で書いた作文に「休むことを忘れるくらい楽しんで仕事をしたい」と書いたことを覚えています。でも、実際に仕事が始まるとダメでした。最初に配属されたのは「人と気軽に話せるようになりたい」と自ら希望した営業部でしたが、毎週、月曜日になったとたん、もう、休みが待ち遠しくてしかたがありません。営業という仕事をやったことが無いので、もう(特に心が)くたくたです。友だちとならいくらでも話せるのですが、お客さんには製品の説明はできるものの、世間話ができないのです。「やっぱり、営業の仕事は自分には向いていないのかな」と半年くらい悩みました。でも、悩みながらも、お客さんの所へ行ってきちんと挨拶をすることと、製品に関しての情報を伝えることはさぼらずに続けました。

するとある日、お客さんから「君と話していると気分がゆったりしてきてとても落ち着くね。君は、営業の仕事に向いているんだね」と言われました。そのお客さんは最初会った時に「君は営業向きではなさそうだから担当を変えてもらったら」と言った人でした。そして、「営業に向いている」という一言をきっかけに、いつのまにか、自分では気づかなかった「変化」を感じるようになっていきました。 

仕事をしていると、まるでゲームのように、毎日、課題や問題と言う名前の怪物が出てきます。時には、顧客とか上司とか先輩なんていう人間の姿かたちをした手ごわい怪物も出てきますし、規則やしきたりなどと言う目に見えない怪物やライバル会社という強敵も出てきます。その怪物たち戦っていると、いつの間にか勇者(仕事ができる人)に向かってレベルアップするのです。でも、戦うと言っても、やっつけるのではなく、「こなす」とか、「味方にする」という感じです。特に、相手が人間の場合は、協力者と言う友だちになるイメージでしょうか。

そしてレベルアップしていくと、自分に合った仕事を探すのではなく、仕事に自分を合わせることができるようになり、自分と周囲のペースを合わすことができるようになるのです。それだけではなく、自分に合った仕事が自然とやってきて、それに協力してくれる人たちも集まるようになります。

 問題や課題をひとつひとつこなしながらレベルアップしていく自分の姿を見るのも楽しいものだとつくづく感じています。

あるまかんポイント
・お読みいただければわかるように、仕事での成長はゲームの「ドラゴンクエスト」を意識しています。キャリア教育ともつながるのですが、老婆心ながら、若い人たちには「自分の成長を楽しむ」「問題が発生しても、その解決を楽しむ」という姿勢を持ってもらえればと思います。

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Udemyを始めました。タイトルは「WBSを使い倒せ !!」

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