海外からの留学生を日本の大学に入学させる話 【キラーワードを見つける】
何故かというと「目立たないといけない」からです。日本文化が好きだから、アニメやマンガが好きだから、お金持ちになりたいからというような大学の勉強にまったく関係の無い志望理由を書く学生の中で、キラッと光らないといけないからです。しかし、残念ながら学生本人に「キラーワード探し」を期待しても、なかなか探し出すことはできません。
a. 志望大学のホームページ(アドミッションポリシー、ビジョン/ミッション、留学生サポート体制、就職サポート体制などの大学側の訴求点)をしっかり読み込ませる。
こんな例があります。
中国人学生のチョウ君(経営学部志望男性、仮名)は「日本に来る中国人観光客のためのネットビジネスを立ち上げるための勉強をしたい」という志望理由書を書いて持ってきました。一見すると、まともな志望理由に見えるのですが「ネットビジネスって何?」と聞くと「インターネットでの観光地紹介」と答えますし「そのためには何の勉強をすべきだと思う」と聞くと「わからない」と言います。結局は日本観光についての中国語のブログを立ち上げたいだけの話なのです。これでは経営学部志望としての志望理由書は成立しません。上記のa、b、cと何回もの面談でdを行い、たどり着いたキラーワードは「(日本人ではなく)中国人の目線で日本観光と日本の地域経済発展を結び付けたい」というもので、それを核としてその大学でどの授業やゼミが役に立つのかという論理展開にすることになりました。(「外国人留学生は日本になじむべき」の逆を行ったことになります)
別の例です。
ベトナム人学生のアインさん(経営学部志望女性、仮名)は「大学卒業後はベトナムに戻り、家業のコーヒー園を会社組織にしたい」という夢を志望理由に書いてきました。前述のチョウ君とは違い現実的な夢です。詳しい話を聞いてみると「実家やその周辺ではコーヒー豆の品質にばらつきがあり、出荷するときに買いたたかれて儲けが出ない」ことが問題だそうです。問題意識は具体的でとてもいいのですが、それと大学での勉強がリンクしていません。上記bを重点的に研究させ、たどり着いたキラーワードは「家業を会社組織にするために、大学の4年間で経営の机上シミュレーションを行う」で、志望理由書には「何をシミュレーションするのか」というポイントと授業をリンクさせるように指示しました。
全ての学生についてdのプロセスには時間がかかりますし、複雑な内容になったり、そもそもの志望理由を変更する事態も発生します。しかし、「なぜ、なにを、どのように」という質問をまじえてコミュニケーションしていくことで、「自分が気付いていなかったことを先生が気付かせてくれた」という信頼関係ができあがるという副次効果も期待できるのです。
・11月7日の記事同様、日本人受験生にもキラーワード探しはあてはまると思います。
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