海外からの留学生を日本の大学に入学させる話 【出願書類準備】
意外と難しいのが「出願書類の準備」です。何が難しいかというと、日本語で書かれた入試要項を留学生が読みこなして、そこに書かれている書類を準備するわけですが、そんなに簡単に準備できるわけはなく、教師がいっしょになって書類の漏れはないか、記入間違いはないかなどをチェックする必要があります。また、記入間違いや書類の漏れ、写真の貼付忘れのために受験不可となるケースもありますので、細心の注意が必要です。
(重要)以下に、書類ごとのポイントを書きますが、大学によって考え方が違いますので、正式な情報は各大学の入試要項をご覧ください。大学の入試要項はホームページからダウンロードできる場合と、郵送依頼をしなければ入手できない場合があります。
- 高校の卒業証明書、成績証明書(全学年):(私の知る限りでは)中国の高校では、これらの書類の原本を複数枚発行してくれるようですが、1通ずつしか原本を発行しない国のほうが多いと思います。複数校を受験するのが通例なので1通では足りず、原本証明を受けたコピーを使うことになりますが、大学によっては「コピーは受け付けない」というところもあり、その場合は原本を送って返送してもらう必要があります。入試要項に記載がない場合は大学側への確認(電話でOK)が必要です。なお、原本の返送を依頼する場合、大学側から具体的な指示が無ければ、レターパック(郵便局で販売)を同封すると親切だと思います。また、簡単な返送依頼状をつけておくと礼を失しないと考えますが、教師が手伝わないと学生では返送依頼状を書くことはできないと思います。加えて、「日本語、英語以外で作成された証明書には翻訳をつけること」という指示をする大学もあります。これには「この翻訳は原本と相違ない」という証明が必要で、学生が翻訳するわけではなく、公的機関や大使館、認可された日本語学校に依頼しなければいけません。
- 外部試験の成績証明書:日本留学試験(EJU)、日本語能力試験(JLPT)、英語の外部試験(TOEIC、TOEFLなど)の証明書を求める大学があります。中には「無くしました」という学生もおり、再発行を依頼しなければいけないケースもあるので、早めのチェックを行いましょう。なお、TOEICもTOEFLもテストが服数種あり、大学側が求める種類のテストの結果で無いと受け付けられません。(注:各試験で足切り点を設けている大学がほとんどです)
- 志望理由書:すべての大学が独自の志望理由書フォーマットを持っていますので、それを入手する必要がありますが、前述した入試要項に含まれている場合がほとんどです。ただし、郵送で入手した場合は書き損じると取り返しがつかないので、かならずコピーに下書きをさせてから清書させるように指導してください。なお、一般的に、志望理由書は指示された文字数の90%以上を書くことが必要だと言われています。
- 履歴書/願書/志願票:最近はWeb出願システムで履歴書や願書の項目を記入させる大学も増えましたが、まだ、手書きの履歴書を求める大学もあります。気をつけたいポイントは「高校卒業まで(日本の場合は小中高校)に12年間の教育を受けているか」ということです。国によっては12年に満たない教育期間のところがあり、出願要件を満たさないことになります。
- 経費支弁引受証明書:これは大学の授業料や生活費がきっちりと支払われるかという証明をするもので基本的には経費の支弁者が記入することになります。と言っても、大抵の場合、経費支弁者は母国にいるので、この書類を作るのは至難の業です。とくに経済状況の悪い国はネットワークインフラが整っていない場合が多く「記入用紙をPDFで送り、それを印刷し、記入してもらい、再度PDFにして送り返してもらう」ということは不可能ですし、郵便状況が整っているとも思えません。つまり、この書類を要求する大学には貧しい国からの留学生は受験しづらいということになります。
上記以外にも大学によって様々な書類が必要になります。この記事には書ききれませんが、とにかく早く入試要項を入手し、よく読み込んで準備を開始することが大切です。
あるまかんポイント
・上記以外にも書類を送るための封筒や顔写真も必要です。
・検索システムで入試要項を探すとき、私は「xx大学 留学生入試」(xxは大学名)でサーチしています。
・記事にも書きましたが、最近はWeb出願をしてから出願書類を郵送するという方式が多くみられます。Webn出願の際に、「エラーが出て、なかなか画面が前に進まない」ことがよくありますが、ほとんどの場合「中国語の簡体字を使っている(使える場合もある)」「全角入力項目に半角で入力している(住所の丁目、番地、号)」が原因です。なぜそうなるかというと、学生が「スマホで簡単に済まそうとしている」からのようです。
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