日本酒、始めてみませんか その1
何年前でしょうか。ワインソムリエの方のテレビ出演が増え、ワインブームがおこりました。逆に、ワインブームだから、ソムリエが増えたのかもしれませんが、あれ以来、ワインは日本の食文化に定着しているようです。今はワイン通が増え、「xx年のどのブドウの出来がいい」と普通に会話が交わされているそうです。また、価格帯も超高級からお手頃まであり、選択肢が多いのも魅力の一つかもしれません。
さて、日本酒です。日本酒もブームの波が何度か起きているのですが、ワインに比べると小波です。どうしてでしょうか。私が考える限り、原因は3つあります。
まず第1は「若者が日本酒に手を出さないこと」。第2は「『日本酒には和食』のイメージが固定してしまっていること」。第3は「味がよくて、リーズナブルな価格帯の居酒屋で、美味い日本酒を出さないこと」です。
Ⅰ:私の友人にも多いのですが「日本酒を飲んだら、次の日が大変」という人がいます。これを聞いた若者が「日本酒を飲むと危ない」と間違って刷り込まれてしまっているのではないでしょうか。どんな酒でも飲みすぎると次の日は大変です。「日本酒はガブガブ飲む酒ではない」とわかっていれば、大変なことにはなりません。もう一つの「大変回避策」は、「まじめに作られたおいしい日本酒」を飲むことです。
Ⅱ:「日本酒には和食」とか「和食には日本酒」と思っている方にお聞きしたいのですが「(日本の)寿司屋にワイン」はありですか?私に言わせると「あり得ない!」です。ワインを置くとおしゃれに見えるかもしれませんが、ワインは、刺身のような「なまぐさ物」には合いませんし、酢の物にも合いません。では、もうひとつ質問ですが「ブルーチーズに日本酒」は合うと思いますか? はい、合います。とても合います。冷酒ならもっと合います。日本酒は相手を選ばないのです。
Ⅲ:居酒屋には必ず日本酒がありますが、あまり特徴のない酒が置かれています。これには大きな理由があります。一般的に食事処では酒類を仕入れ値の3倍の値付けで提供します。それは、ワインでも同様です。じつは、それなりのレベルの日本酒の仕入れ値はそれなりのレベルのワインの値段と同等だと言えます。しかし、「輸入物は高くても仕方がない」という古い日本人根性の逆で、国産品である日本酒に高い金を払いたくないという人が、ワインなら少々高くても注文する人が、居酒屋で特徴のない酒を注文してしまっているのです。そして在庫が残ることを嫌う居酒屋側は良い酒を置かなくなるのです。
私のこの3つの原因分析に納得して、「日本酒、始めてみようかな」と思った方は、①多くの種類の日本酒を置いている酒屋さんへ行って、②4合瓶で1,200~2,000円くらいの純米吟醸酒か純米酒を買い、③帰りにブルーチーズ(ブルーチーズが苦手な方はミモレットでもいいです。その他の肴はご自由に)も買って、④ワイングラス(薄いガラス製のグラスという意味です)を使って、⑤自宅で、飲んでみてください。
日本には地酒を作っている酒蔵が1,000以上あり、銘柄としては10,000以上あると言われます。その原料となる酒米も有名な山田錦だけではなく、雄町、五百万石、愛山、美山錦、山田穂などがありますし、最近開発された酒米も多くあります。
どれを買っていいかわからない時は、雑誌やテレビのおすすめ銘柄を試すのもいいでしょうし、日本酒好きの方の推薦銘柄もいいと思います。でも、あてずっぽうで買って(ラベル買いでもOK)、自分で好みの酒を探し当てた時は満足感と高揚感で人に自慢したくなります。日本酒は嗜好品です。だから、自分が美味しいと思った酒は、誰が何と言おうと美味しいのです。
・この記事につけた写真は、私の飲んだ日本酒のラベルを集めて、オンライン会議の背景用にしたものです。この中に私の日本酒ベスト5があります。
・「日本酒、始めてみませんか その2」もお楽しみに
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